
Column
コラム
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Vol.3
英語教育に6億円!でも国語と算数は?“真の学力”を考える
現在、備前市では、各こども園・小学校・中学校の1学年に1人のALT(外国語指導助手)を配置するため、フィリピンから80名以上のALTを直接雇用する計画が進んでいると聞きました。しかも、その予算はほとんど議論されることなく、あっという間に決定しそうな状況であり、保護者や現場から心配する声が上 がっています。
はい。令和7年2月の定例会に上程された備前市の当初予算には、ALT増員に関する予算として6億4500万円が計上されています。


もちろん、外国語教育自体は大切ですし、ALT配置そのものを否定するわけではありません。ただ、生徒数に関わらず、全学年に一律で1学年に1人配置するという方針には、もう少し議論が必要だと思います。現場の先生方の負担やスケジュールの調整、さらに事業の継続性など、気がかりな点が多いのが実情です。
そうですね。英語教育の充実を目指す意図はわかりますが、そこまで大規模な予算を投入することが本当に妥当なのか、慎重な検討が求められるところです。


それに、備前市の全国学力調査における小学校6年生の結果は、全国・県平均を下回っていると聞いています。国語や算数は学力の基本になってきますよね。小中学生のうちにしっかりと基礎を固めることが重要ではないでしょうか。
英語力を高めるには、母語である日本語で『物事を論理的に整理する力』や『自分の考えをわかりやすく伝える力』、さらに『読んだり聞いたりした内容を正確に理解する力』といった、言語運用の土台が不可欠です。そうした力が十分でないまま英語教育を強化しても、かえって子どもたちに過度な負担をかけることになりかねません。


これは、以前備前市でも講演された教育学者の齋藤孝先生が著書の中でも強調されていたことですね。
それを踏まえると、ALTの拡充は各学校現場としっかり協議を重ね、子どもたちの基礎学力をどう底上げしていくかという視点とセットで考えるべきではないでしょうか。まずは思考の基盤を作ることこそが、真の学力向上につながると考えます。
その通りですね。英語教育に偏ることなく、国語や算数を含めた全体的な学力底上げをどう進めていくか。そのバランス感覚こそ、これからの教育行政には求められると思います。


ところで最近は、不登校や学校に行けない・行かないという選択をする子どもたちも増えていますよね。学力を高めることも大切ですが、その前に、子どもたちが“ここが自分の居場所だ”と思える環境を整えることも大切ですよね。

本当にそうですね。どの子にも“安心して過ごせる場所”があることが、学びのスタートラインだと思います。次回は、学校に行きづらい子どもたちとその家庭へのサポートについて、一緒に考えていきましょう。
